JETPACK SDK 5.0 DEVELOPER PREVIEW

NVIDIA JetPack SDK は、エンドツーエンドのアクセラレーテッド AI アプリケーション構築のための最も包括的なソリューションです。JetPack SDK は、ハードウェア アクセラレーションを活用したエッジ AI 開発を行うための完全な開発環境を提供します。JetPack SDK は Jetson モジュールと開発者キットをすべてサポートしています。

JetPack SDK には、 Jetson Linux ドライバー パッケージ とブートローダー、Linux カーネル、Ubuntu デスクトップ環境のほか、GPU コンピューティング、マルチメディア、グラフィックス、コンピューター ビジョンのアクセラレーション用ライブラリ一式が含まれます。またホスト コンピューターと開発者キット向けのサンプル、ドキュメント、開発者ツールも付属しており、ストリーミング ビデオ分析用の DeepStream、ロボティクス用の Isaac、対話型 AI 用の Riva といった上位レベルの SDK をサポートしています。

JetPack 5.0 Developer Preview

JetPack 5.0 Developer Preview は開発リリース1 で、CUDA 11.4 を含むコンピューティング スタックのフル アップデート、Linux カーネル 5.10、Ubuntu 20.04 ベースのルート ファイル システム、UEFI ベースのブートローダー、OP-TEE (Trusted Execution Environment) が含まれます。機能の一覧については、以下の各セクションをご覧ください。

今回のリリースは、Jetson AGX Orin 開発者キットと、Jetson AGX Xavier シリーズおよび Jetson Xavier NX シリーズの開発者キットと商用モジュールをサポートしています。

注: JetPack 5.0 Developer Preview は運用環境での使用を想定しておらず、Jetson Linux のリリース ノートに記載されている既知の問題1 があります。リリース ノートをよくお読みください。

1 これらの問題は、JetPack 5.0 の製品版リリースで修正される予定です。

JetPack 4.6.1

JetPack 4.6.1 は引き続き、最新の製品版リリースであり、Jetson AGX Xavier シリーズ、Jetson Xavier NX シリーズ、Jetson TX2 シリーズ、Jetson Nano、Jetson TX1 をサポートします。

詳細については JetPack 4.6.1 rのリリース ページをご覧ください。


JetPack のインストール

Debian パッケージを使用した方法

JetPack は Jetson の Debian パッケージ管理ツールを使ってインストールやアップグレードを行うことができます。ホストにインストールする JetPack コンポーネント用の Debian パッケージもホストしています。手順については JetPack 関連資料をご参照ください。

SD カード イメージを使用した方法
NVIDIA SDK Manager を使用した方法

JetPack の主な機能

Jetson Linux

NVIDIA Jetson Linux 34.1 は、Linux カーネル 5.10、UEFI ベースのブートローダー、Ubuntu 20.04 ベースのルート ファイル システム、NVIDIA ドライバー、必要なファームウェア、ツールチェーンなどを提供します。

JetPack 5.0 には Jetson Linux 34.1 が含まれ、以下のような特徴があります。

  • Jetson AGX Orin 開発者キットのサポート
  • Jetson AGX Orin 開発者キットによる Jetson Orin NX シリーズおよび Jetson AGX Orin シリーズの製品版モジュールの性能エミュレーションのサポート
  • LTS カーネル 5.10
  • Ubuntu 20.04 ベースのリファレンス ファイル システム
  • OP-TEE Trusted Execution Environment1
  • UEFI ブートローダー
  • NVSCI のサポート: 複数のアプリケーション間のデータ パケットのストリーミング用と IPC (プロセス間通信) 用のユーティリティを提供します。
  • 新しい Jetson Power GUI: Jetson プラットフォームの電力および熱状態を監視するためのツールです。
1 Jetson AGX Orin の OP-TEE は今回のリリースでは有効になりません。

TensorRT

TensorRT は画像分類、セグメンテーション、物体検出ニューラル ネットワークのための高性能ディープラーニング推論ランタイムです。TensorRT は NVIDIA の並列プログラミング モデルである CUDA を基盤としており、すべてのディープラーニング フレームワークに対して推論を最適化できます。ディープラーニング推論オプティマイザーおよびランタイムが含まれ、ディープラーニング推論アプリケーションにおける低レイテンシ、高スループットを実現します。

JetPack 5.0 Developer Preview には TensorRT 8.4.0 の早期アクセス が含まれます。

cuDNN

CUDA Deep Neural Network ライブラリはディープラーニング フレームワーク用の高パフォーマンスなプリミティブを提供します。フォワード畳み込み、バックワード畳み込み、プール、正規化、アクティベーション層などの標準ルーチンが高度に調整されて実装されています。

JetPack 5.0 Developer Preview には cuDNN 8.3.2 が含まれます。

CUDA

CUDA Toolkit は C や C++ の開発者が GPU アクセラレーション対応アプリケーションを開発するための統合開発環境を提供します。このツールキットには NVIDIA GPU 用コンパイラ、Math ライブラリ、アプリケーションのデバッグおよびパフォーマンスの最適化のためのツールが含まれます。

JJetPack 5.0 Developer Preview には CUDA 11.4.14 が含まれます。

Multimedia API

Jetson Multimedia API パッケージは柔軟なアプリケーション開発のための下位レベルの API を提供します。

カメラ アプリケーション API: libargus はカメラ アプリケーション用の下位レベルのフレーム同期 API を提供します。フレーム単位のカメラ パラメータ コントロール、複数台の (同期を含めた) カメラ サポート、EGL ストリーム出力に対応しています。ISP を必要とする RAW 出力 CSI カメラは libargus または GStreamer プラグインで使用できます。どちらの場合も V4L2 メディアコントローラー センサー ドライバー API を使用します。

センサー ドライバー API: V4L2 API はビデオのデコード、エンコード、フォーマット変換、スケーリング機能を利用できます。エンコード用 V4L2 はビット レート制御、品質プリセット、低レイテンシのエンコード、一時的なトレードオフ、モーション ベクター マップなど多くの機能を利用できます。

JetPack 5.0 Developer Preview のマルチメディア関連の主な新機能:

  • 新しい NVUtils Multimedia バッファー管理およびバッファー変換 API1
  • 1 nvbuf_utils は廃止予定です。nvbuf_utils から NVUtils への移行方法については、 移行ガイド をご覧ください。

コンピューター ビジョン

VPI (Vision Programing Interface) は PVA1 (Programmable Vision Accelerator)、GPU、CPU 上に実装されたコンピューター ビジョン/画像処理アルゴリズムを提供するソフトウェア ライブラリです。

OpenCV はコンピューター ビジョン、画像処理、機械学習向けのオープン ソース ライブラリです。

JetPack 5.0 Developer Preview には VPI 2.0 が含まれます。

  • 新しいアルゴリズム:
    • CPU、GPU、VIC バックエンドでの画像の水平/垂直反転
  • Jetson AGX Orin のステレオ視差用のオプティカル フロー アクセラレータ (OFA) バックエンド
  • CPU バックエンドと GPU バックエンドでの画像の表示/トリミング
  • Python バインディングでの CUDA バッファーのラッピング: 他のライブラリと共に VPI を効率的に使用できるようになります。
  • Python バインディングでの KLT トラッカーのサポート

JetPack 5.0 Developer Preview には OpenCV 4.5.4 が含まれます。

開発者ツール

CUDA Toolkit は C や C++ の開発者が CUDA ライブラリを使用して GPU アクセラレーション対応の高性能アプリケーションを開発するための統合開発環境を提供します。このツールキットには Nsight Eclipse Edition、Nsight Compute をはじめとするデバッギングおよびプロファイリング ツール、アプリケーションのクロスコンパイル用ツールチェーンが含まれます。

NVIDIA Nsight Systems はシステム全体を網羅する低オーバーヘッドのプロファイリング ツールで、ソフトウェアのパフォーマンスを分析して最適化するために必要なインサイトが得られます。

NVIDIA Nsight Graphics はグラフィックス アプリケーションのデバッグやプロファイリング用のスタンドアロン アプリケーションです。

JetPack 5.0 Developer Preview には NVIDIA Nsight Systems 2021.5 が含まれます。

JetPack 5.0 Developer Preview には NVIDIA Nsight Graphics 2021.5 が含まれます。

詳細は リリース ノート をご覧ください。

サポート対象の SDK とツール

NVIDIA DeepStream SDK は AI ベースのマルチセンサー処理やビデオおよび音声理解のための包括的な分析ツールキットです。

次期 DeepStream SDK 6.1 リリースは、JetPack 5.0 Developer Preview をサポートします。

NVIDIA Triton™ Inference Server を使用すると、AI モデルの大規模な展開が容易になります。Triton Inference Server はオープンソースで、NVIDIA TensorRT、TensorFlow、ONNX Runtime でトレーニング済みの AI モデルを Jetson に展開できます。Jetson では、Triton Inference Server は C API と直接統合するための共有ライブラリとして提供されます。

PowerEstimator1 はカスタムの電力モード プロファイルを簡単に作成し、Jetson モジュールの消費電力を推定できる Web アプリです。

1Power Estimator での JetPack 5.0 のサポートは、JetPack 5.0 の製品版リリースで有効になります

クラウドネイティブ

JJetson により、コンテナーやコンテナー オーケストレーションなどの クラウドネイティブ テクノロジをエッジで利用できるようになります。NVIDIA JetPack には NVIDIA Container Runtime と Docker 統合が含まれ、Jetson プラットフォーム上で GPU アクセラレーションを活用したコンテナー化されたアプリケーションを実現できます。

NVIDIA NGCでは、Jetson 向けの複数のコンテナー イメージをホストしています。サンプルやドキュメントを使用したソフトウェア開発に適しているものもあれば、実稼働ソフトウェアの展開に適しており、ランタイム コンポーネントのみを含むものもあります。詳細とコンテナー イメージの一覧は、 Cloud-Native on Jetson のページをご確認ください。

JetPack 5.0 Developer Preview のクラウドネイティブ関連の主な新機能:

  • NVIDIA Container Runtime により、ホストからコンテナー内へのユーザー レベルのライブラリ (CUDA、cuDNN、TensorRT など) のマウントが停止されます1
1Jetson 上のコンテナーでは、コンテナー内にユーザー レベルのライブラリを含める必要があります。NVIDIA Container Runtime により、ホストからコンテナー内へのプラットフォーム レベルのライブラリとデバイス ノードのマウントは継続されます。

セキュリティ

NVIDIA Jetson モジュールにはハードウェア RoT、セキュア ブート、暗号化ハードウェア アクセラレーション、TEE、ディスクとメモリの暗号化、物理攻撃に対する保護などの各種セキュリティ機能が含まれます。セキュリティ機能の詳細については、Jetson Linux 開発者向けガイドのセキュリティに関するセクションでご確認ください。

JetPack 5.0 Developer Preview は、セキュア ブート、ディスクとメモリの暗号化をサポートしません。これらのセキュリティ機能は、JetPack 5.0 の製品版リリースで有効になります。

機能安全

NVIDIA Jetson では、安全に関わるシステム設計の文脈で利用可能なハードウェア エラー診断の基盤へのアクセスを提供することで、機能安全の担保に取り組んでいます。 Jetson Safety Extension Package (JSEP) は安全機能の実装と機能安全標準の遵守達成のためのエラー診断とエラー報告フレームワークを提供します。詳しくは こちらをご覧ください。

JetPack 5.0 Developer Preview は、JSEP をサポートしていません。

JetPack の関連資料とウェビナー

ドキュメント

  • サンプルやドキュメントの一覧は JetPack 関連資料 をご参照ください。
  • ハードウェアおよびソフトウェアの関連資料へのリンクについては、 Jetson サポート資料 のページをご覧ください。

ウェビナー


旧バージョンの JetPack については、 JetPack アーカイブをご覧ください。