Computer Vision / Video Analytics

NVIDIA、盗難防止のためのクラウドネイティブな Metropolis マイクロサービスと Retail AI Workflow を公開

Reading Time: 2 minutes

小売業の「シュリンケージ被害」は深刻です。2021 年には業界全体の損害が 1,000 億ドルに達し、インフレの悪化がこれに拍車をかけています。ソフトウェア開発者が小売業の損害防止ソリューションの開発を加速できるように、NVIDIA は一連のマイクロサービスを NVIDIA Metropolis の一部としてリリースし、あわせてRetail AI Workflow を公開しました。これらの AI ワークフローは、複数のカメラやバーコードスキャンによる識別を実現するための数十万もの店舗商品への迅速なインデックス作成、値札の貼り換えや盗難検知といったアプリケーションとともに、事前トレーニングされた AI モデルを提供します。これらにより、迅速に開発が着手できるようになります。

マイクロサービスのリファレンス アーキテクチャ

このような複雑なソリューションを開発するには、拡張性に優れた分散型のアーキテクチャが必要です。クラウドネイティブなテクノロジを使うことで、拡張性、保守性、アップグレード性、適応性が保証され、展開する環境を自在に選ぶことができます。このようなソリューションは、マルチモーダルな AI 機能を必要とする複数のデータとセンサー ソースにますます依存する傾向にあり、マイクロサービスをベースとする設計なら、このような要件にも無理なく対応できます。  

以下の機能が Metropolis マイクロサービスのリファレンス アーキテクチャにより提供されます。

  • 店舗全体の拡張性: ハイブリッドなオンプレミス環境またはクラウド環境をサポート
  • 復元性: モニタリングと自己修復により安定性と優れたアップタイムを保証 
  • モジュール性: 機能モジュールを選択して新機能を既存のソリューションに追加  
  • カスタマイズ性: 店舗設計、AI モデル、および DevOps や IT インフラストラクチャに起因する展開への制約に関する顧客固有の要件に対処

Metropolis マイクロサービスの早期アクセスにご登録ください。

図 1. Metropolis マイクロサービスは、ビジョン AI アプリケーションを構築するためにカスタマイズできる、クラウドネイティブなビルディング ブロックを提供する

Retail AI Workflow

以下で詳しく説明する Retail AI Workflow は、アプリケーション開発で直面する極めて複雑な課題にも対処し、効果的なソリューションの構成要素となる基礎的な「ビルディング ブロック」を提供します。

Retail Loss Prevention AI Workflow

NVIDIA の研究者は、最先端の Few-Shot 学習を独自に開発しました。これは対象の特徴付けと自己教師あり学習アルゴリズムを使い、限られた新しい商品データに継続的に適応されるよう設計されています。これは独自の手法によるアクティブ学習であり、買い物客や従業員がレジでスキャンしたのが新しい商品であれば取り込み、次回からの類似検索による認識を可能にします。この学習により、モデルの精度が向上します。

この AI モデルは、精肉、酒類、健康や美容に関連する商品など、特に万引きされやすい数百品目の商品を認識するため、事前にトレーニングされています。店頭に並ぶ商品のサイズや形状はさまざまですが、AI モデルはそれを織り込んで認識します。 

開発者はこのワークフローをカスタマイズして独自のモデルを追加することで、簡単に拡張して店内の数十万の商品に対応させることができます。

図 2. Metropolis マイクロサービスで構成される、Retail Loss Prevention AI Workflow を展開するためのリファレンス アーキテクチャ

Retail Loss Prevention AI Workflow 詳細については、以下の資料を参照してください。 

Multi-Camera Tracking AI Workflow

小売スペースに視覚を与えるには、複数の物理エリアをカバーする多数のカメラにビジョン AI を適用する必要があります。Multi-Camera Tracking AI Workflow は、マルチターゲット マルチカメラ (MTMC) 機能を提供し、アプリケーション開発者が、複数のカメラで買い物客を匿名で追跡するソリューションを容易に作成できるようにします。このワークフローでは、NVIDIA DeepStream SDK 、事前学習済みモデル、再識別 と 追跡のための最先端マイクロサービスを使用しています。

MTMC ワークフローはカメラからカメラへ移動する物体を追跡して関連付け、その物体に割り当てた固有の ID を保持します。物体の追跡は個人の生体情報だけでなく、視覚的な埋め込みや外観によって追跡されるため、プライバシーは完全に保護されます。

MTMC は、セルフレジのセキュリティ強化に役立ち、完全な自律型店舗を実現するため基盤となります。このワークフローは、異常な行動を検出するためにトレーニングすることができます。ワークフローの展開と拡張には Kubernetes を使い、管理には Helm を使用します。

図 3. Metropolis マイクロサービスで構成される、Multi-Camera Tracking AI Workflow を展開するためのリファレンス アーキテクチャ

Multi-Camera Tracking AI Workflowの詳細については、以下の資料を参照してください。

Retail Store Analytics AI Workflow

開発者は Retail Store Analytics AI Workflow を使って、カスタム ダッシュボードで店舗分析するための包括的な小売ビジョン AI アプリケーションを開発することができます。 

たとえば、以下のような洞察を提供する、ダッシュボードを作成できます。 

  • 1 日の来客数
  • 買い物かごを使う客と使わない客の比率
  • 店舗の通路あたりの来客数
  • 店舗のヒートマップ
  • 顧客ジャーニーの可視化

このような属性は、店舗ごとにカスタマイズされた特定のユース ケースに関する情報を追加するなど簡単に変更することができます。店舗では、これらの情報をもとにスタッフの配置を最適化し、商品選びとレイアウトを改善し、顧客体験を向上させることで、売上を最大化することができます。

NVIDIA AI の活用で開発の課題を解決

NVIDIA の新しい Retail AI Workflow とマイクロサービスにより、完全な店舗ソリューションを実現することができます。複数のワークフローは共通の基盤上で稼働し、開発者が直面する主な課題を解決します。これらワークフローを使えば、開発者はシステムの拡張性と柔軟性を確保しながら、万引き防止やセルフレジ決済など小売業に必要不可欠なトータルなソリューションを簡単に開発し、展開できるようになります。Metropolis マイクロサービスへの早期アクセスにご登録ください。NVIDIA は、小売損害防止 AI ワークフローの詳細を 1 月 15 日から 17 日までニューヨークで開催される National Retail Federation Conference (NRF) にて詳細を紹介する予定です。

Tags